訪問介護は、利用者さんとのコミュニケーションがカギだと言いますが、その関係性の取りかたが上手なAさん。嫌なことがあってもすぐに切り替える術もマスターし、利用者さんとの信頼関係も作って行ったようです。今回は、新人ヘルパーとしてのヒントがたくさん聞けます!
*A・Wさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
A・Wさん(42歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…12 年
●介護の仕事に就く前…フリーター、接骨院助手、ミュージックバー経営
●転職回数…4回
●いままでの勤務先…訪問介護ステーション、デイサービス
●現在の勤務先…訪問介護ステーション
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員、ケアマネジャー
利用者さんに孫と子どもの間ぐらいの感覚で接して
訪問介護のヘルパーを選んだのは、時間の自由がきくからです。老人ホームだとフルタイムですし、夜勤もあるので、3歳と1歳の子どもがいる私には、ちょっと難しい。その点、訪問介護は自分の都合に合わせて仕事を入れられるのがありがたかったです。事業所は私の家庭のことも理解してくれて、無理のないように配慮してくれました。
私はもともと気負わないほうで、初仕事もそんなに緊張はしなかったですね。当時30歳になったばかりで、利用者さんにとってみれば、娘という年でもないし、孫にはちょっと年齢が高い。微妙な年齢だったのも、よかったのかもしれません。ヘルパーさんは50代、60代の女性が多かったのですが、そうすると、利用者さんにとってヘルパーは嫁みたいな感覚になってしまうのでしょう。嫁姑みたいな関係になってしまい、うまくいかないこともあると聞きます。
何事も、教えていただく、という心構えでいけばいいんだと思います。実際、自分よりもずっと長く生きていらっしゃるのだから、家事も私より得意なのは当たり前だし、人生経験だって深い。私がやることがつたないと思うのももっともだ、と。そんな姿勢でいると、少しぐらいできなくても、利用者さんは「しょうがないわね」と笑って受け止めてくれます。
次の利用者さんのことを考えて切り替える
けれど、落ち込むこともありましたよ。訪問介護だと、利用者さんの家に行くわけで、相手のテリトリーに入っていく感じで、どこに何があるかもわからないことが多いんです。「ここ、掃除しといて」みたいに横柄に言われて、掃除道具がどこにあるかわからない、利用者さんに聞くと、投げてよこされたこともありました。自分が家事をするのと同じようにやってほしい、という気持ちが強い方は、どう一生懸命にやっても気に入らず、何度もやり直しをさせられることもありました。
家に帰って家族にグチを言うこともあります、言い出したら止まらない(笑)。でも、どこか人間が楽天的にできているのでしょうか。一度吐き出してしまえばあとはすっきりして、また次の訪問に平常心で行けるんですよね。
行った先でちょっとした嫌なことがあっても、いつまでも引きずらないようにしよう、と決めていました。「さあ、次の訪問に行こう」みたいに、意識的に切り替える。それが上手になったら、もう大丈夫。それに、家に帰れば子育てもあるし、家事もやらないといけないし、くよくよしている暇はありません。「世の中、いろんな人がいるんだ」とひとくくりにして、気にしないようにしてしまえば、淡々と介護に取り組めました。
それに、利用者さんの中には、脳梗塞で倒れたりして半身まひになり、もとどおりに手足を動かすことができず、失意のまま退院してこられた方もいます。外に出る機会も少なく、ずっと家にいたら、ネガティブな気持ちになって、意地悪もしたくなるかもしれないな、と。そんな視点を持って利用者さんに接したら、利用者さんにも少しは心を癒して差し上げたいな、と心から思えるようになりました。
こちらがそう思っていると、利用者さんも少しずつ変わっていくんですよね。私が来るのを楽しみにしてくれる人も出てきて、「あなたが来てくれるようになって、うれしいわ」と言ってもらえることもあります。そういうときが、「この仕事をしてよかった」と思える瞬間です。利用者さんの言動を広い心で受け止めることが大切なんだな、と痛感しました。
そんなふうに、仕事のおもしろさがわかってくると、もっと介護のことを知りたい学びたい、と思うようになりました。
次回は、他の事業所でも働き始めたAさんの様子をお伝えします。
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