■書名:これならわかる<スッキリ図解>介護保険 第2版(2015年版)
■著者:高野龍昭
■発行元:翔泳社
■発行年月:2015年3月17日
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介護保険法改正スタート! 改正点を理解し「2025年問題」を考えよう
4人に1人が75歳以上という超高齢社会が10年後に迫っている。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる、いわゆる「2025年問題」。医療費が膨れあがり、介護・福祉サービスの需要が急増するなど、社会保障財政のバランスの崩壊が懸念される深刻な問題だ。その「2025年問題」を見据えて、2015年4月から介護保険法が改正・施行された。
本書は、その介護保険制度の改正ポイントをまとめ、わかりやすく解説してくれる。特に、著者が「介護保険制度改正の最大の論点」と強調する《地域支援事業》や《予防給付見直し》については、多くのページを割いて解説。
著者の高野さんによると、今回の改正は「ターニング・ポイントといえる大改正」であり、「政府の『本気度』がうかがえる」とのこと。そのため、項目ごとに実施時期が異なっていたり、市町村ごとに実施内容が異なったり、また医療制度改革との関連など、大変複雑な内容になっていると言う。
本書では、その複雑な改正内容を図式やデータを用いて解説。図解と解説文が左右に整理された見開きページで構成されているのも、非常にわかりやすい。しかも、単に改正の概要をなぞるのではなく、改正の狙いや背景にある問題点についてもかみ砕いて解説してくれるので、介護保険法の予備知識がなくてもすんなりと頭に入っていく。
「介護保険制度とは?」「介護サービスとは?」「ケアプラン作成の手順」など、介護保険制度の基本や仕組みもしっかり章立てされているので、介護保険についてイチから勉強できるのも魅力だ。ケアマネジャーはもちろん、介護職や自治体の福祉関係者、これから介護の仕事や福祉系の資格取得をめざす人にとっても、わかりやすい介護保険のガイドブックになっている。
著者は、「おわりに」で次のように述べている。
<今回の改正は、“次回以降の改正に向けた『布石』”に過ぎません。(中略)本書は、単に制度を説明するだけでなく、こうした今後の改正のあり方をみなさんに考えていただくための情報をあちこちにちりばめながら執筆したつもりです。ひとりでも多くのみなさまが『今』の理解だけでなく『これから』の介護保険制度を考えることが必要です。そして問題意識をもって、一人ひとりが『声』を上げていくことこそが2025年問題への最善の対処策となると信じています。>
超高齢社会の問題や、これからの介護のあり方について、一人ひとりが考える手引きとして、ぜひ一読をおすすめしたい。
<小田>
著者プロフィール
高野 龍昭(たかの・たつあき)さん
社会福祉士・介護支援専門員。龍谷大学文学部社会学科卒業。医療ソーシャルワーカーを皮切りに、在宅介護支援センターでのソーシャルワーカーや居宅介護支援事業所でのケアマネジャーとして活躍。現在は東洋大学ライフデザイン学部准教授。NHK教育番組の講師としての出演経験も。高齢者のケアマネジメント、介護保障の政策論などを研究するとともに、福祉職を目指す学生の教育にあたっている。著書に『忙しい現場のためのMDS-HC入門』(医学書院・共著)など。
●著者の高野龍昭さんが介護求人ナビ読者のために、介護保険改正を詳しく解説!
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2015年 介護保険改正 特集