■書名:機能向上につながる!高齢者とつくる季節の壁面<秋・冬編>
■企画編集:世界文化社
■出版社:世界文化社
■発行年月:2019年8月
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秋のコスモスから早春の梅まで、季節感あふれる壁面飾り21点をご紹介!
介護施設でのアクティビティとして人気の高い壁面飾り作り。
介護スタッフとしては、毎回どんな作品にしようかと悩むことも多いのではないだろうか。
本書は、介護レクリエーション情報誌『レクリエ』の連載から、秋から冬の季節を感じる壁面飾りをまとめたもの。
作りたいものがきっと見つかるはずだ。
まずは、壁面飾り作りが高齢者の機能向上にどのように役立つのかを押さえておきたい。
理学療法士の池村公伯さんによれば、壁面飾り作りが機能向上につながるのは、次のような理由によるという。
1.長時間、集中して取り組める
2.手指を使うことで、楽しみながらトレーニングにつながる
3.コミュニケーションのきっかけになる
4.生活に必要な「複合的な動き」が自然と身につく
5.感性が刺激され、達成感を味わえる
このように、飾り作りのアクティビティのメリットは、指を動かすことだけにとどまらない。たとえ作業がうまくできなくても、参加する高齢者にとって楽しい場になるように努めたいものだ。
本書に掲載されている壁面飾りは、9月から2月の季節感あふれる21点。秋の風物詩や、クリスマス、おめでたいお正月飾りなどがラインナップされている。
たとえば、11月、12月、1月には次のような作品が並ぶ。
11月:もみじ散る池の鯉・森の紅葉・いちょう並木の散歩道・古都のもみじ
12月:三角リースのクリスマスツリー・きらめくクリスマスツリー・毛糸のボンボンツリー・森の雪景色
1月:新春のたこあげ・だるまの宝船・新春の海・福を呼ぶ招き猫
いずれの作品も、見た目の華やかさは抜群だ。
それぞれ見開き2ページで大きく写真が掲載されているので、細部も見て取れ、全体のイメージも把握しやすい。
もちろん、それぞれの作品作りで高齢者が行う作業は、すべて機能向上につながるように入念に考えられている。
作品ごとに「ねらい」がはっきり示されているので、取り組む際の参考になるだろう。
11月の「もみじ散る池の鯉」では、次の2つがねらいに挙げられている。
・紙をちぎったり貼ったりすることで、手指の巧緻性の維持・向上を図る。
・個人で製作した鯉を集めて貼ることで、共同制作の楽しさを味わう。
21点のうちの5点には、「制作LIVE」というコーナーで、実際に介護施設で制作したときの様子がレポートしてある。
作業の進め方を写真で確認できるだけでなく、ちょっとしたヒントや高齢者に伝わりやすい声掛けの仕方まで添えてあるので、現場のレクリエーションでの参考にするといいだろう。
また、巻末には全作品の型紙がついており、すぐに利用して作れるのも魅力だ。
本書があれば、壁面飾り作りをレクリエーションにすぐに取り入れられ、アクティビティとしてのハードルも下がるのではないだろうか。
「春・夏編」と合わせれば、一年を通して重宝するにちがいない。
高齢者が季節感も楽しみながら機能向上が目指せるように、介護スタッフとして上手に利用したい一冊だ。